賃上げは、ほぼ確実に失敗します。

1、賃上げ政策は有効か?

現在、賃上げ政策が話題です。

賃上げ政策というのは、現在の内閣(岸田政権)が推し進める政策の一つです。

大雑把に言えば、日本人の平均所得が他の先進国に比べてかなり低いので、政府主導で賃上げをしようという政策です。

具体的な内容としては、従業員の賃上げを行った企業に補助金を支給するというものです。

補助金を支給するとは、かなり大盤振る舞いですね。

短期的に見れば、この政策は成功するかもしれません。

何せ、賃上げを実行すれば、政府から補助金が貰えるのですから。

しかし、長期的な視点で見れば、この政策の効果はなくなっていくと思います。

なぜかといえば、10~20年後には補助金がなくなっているはずだからです。

そうなると、補助金があったから賃上げをしていた企業が次々と賃上げをやめていくと思うんですね。

当然といえば当然です。

では、そもそもなぜ日本人の賃金は、ほかの先進国に比べて低いのでしょうか。

2、日本人の賃金が低い理由。

結論から言うと、日本が終身雇用制度を採用しているからです。

終身雇用制度とは、一度正社員として雇った従業員の首が切りにくい法制度です。

社長目線に立つと、一度雇ってしまうと、そう簡単に首にできない正社員の給料を上げるなど、おいそれとはできません。

よって、給料の伸びが、ほかの先進国と比べると低くなるのは少し考えればわかるはずです。

では、そもそもなぜ日本は終身雇用をやっているのでしょうか。

3、終身雇用が始まった理由

日本の終身雇用のルーツをたどると、第二次大戦後の占領期にまでさかのぼろことができるはずです。

元々、アメリカの自動車メーカーのフォード等が第2次大戦前に導入していた制度を見て、マッカーサーが「あれっていいよな」と思って日本の法律に組み込んだことが事の発端です。

そもそもなぜフォードは終身雇用を採用していたのでしょうか。もちろん、国の法律で強制されていたということは一切ありません。

当時こんなことをしていたのは、アメリカではフォードなどの一部の企業だけでしたから。

(ここからの話は、瀧本 哲史著『僕は君たちに武器を配りたい』に基づいています。)

昔の自動車製造業は今と違い、熟練工しか生産ラインに入れないような工程がたくさんありました。

熟練工を養成するのには何年、いや、何十年もかかります。

彼ら熟練工なしには自動車を作れなかった当時は、せっかく養成した熟練工に転職されては会社としては大損です。

そこで、フォードは終身雇用を採用し、熟練工には他の製造業の平均給与の倍の額を支給しました。

そうすると、熟練工たちにとっては、ほかの企業に転職するメリットがありませんよね。

だって、フォードで働いていれば、よほどのことをしでかさない限り首の心配はしなくていいし、給料だって同業他社の倍もらえるんですよ。

こういう事情もあってか、フォードなどの自動車産業の熟練工は、当時のアメリカ人にとっては一種の「憧れ」的な存在でした。

しかし、時代とともに事情は変わっていきました。

科学技術の発達により、御幣を恐れず言えば、今や機械が機械を作る時代です。

熟練工が必要な工程は、一応はあるものの、それほど多くはなくなりました。

要するに、ほとんどの工程は、人であればだれでもできるようになったのです。

むろんかつては有用だった終身雇用も今は必要なくなりました。

なので、フォードは今、人件費の安いメキシコにどんどん工場を建てて、アメリカ国内の工場を閉鎖していっています。

アメリカの従業員に対しては「工場閉鎖するから解雇ね」と言って、そのまま解雇して終わりです。

こうしてできたのが「ラストベルト」と呼ばれる地域です。rustとは、「さび」という意味です。

日本はこの終身雇用を今も続けています。

このままでは、日本全体が「ラストベルト」になっていくという思いを抱えているのは僕だけでしょうか。

あなたが社長なら、一度雇ってしまうと基本的にずっと雇い続けなければならない法制度の下で、おいそれと賃上げできますか。

僕が社長なら、表向きは賃上げしますが、日本国内で雇う人数を減らして、人件費の低い発展途上国で人を多めに雇うと思います。これだと、トータルの人件費は低く抑えられます。

ちなみに、これは現に起きている現象です。

日本の製造業は、多くの場合この段階です。

4、もうあきらめよう

僕からの提案ですが、もう会社に何かを期待するのはやめたほうがいいと思います。

業界によって事情は異なるのでしょうが、日本の普通の会社で働いていて、これから順調に給料が上がっていくということは考えにくいですね。

なので、節約するとか、副業するとか、何とか対処していく必要があります。

昨今は投資を進める情報商材が跋扈していますが、僕は懐疑派です。

なぜなら、一端の素人が投資すると、多くの場合大損します。

例えば、30年前の就職人気企業ランキングを見たらよくわかります。

富士通や東芝や松下(現在のpanasonic)などが見えます。

当時の就職人気企業=当時の世間での評価が高い企業、です。

あなたは、30年前東芝がこうなると予測できましたか?

ということで、素人が投資すると危ないのではないかという論でした。

ちなみに、投資養護派の意見も載せておきましょう。

厚切りジェイソン著『お金の増やし方』

この本では、インデックスファンドに投資しようというアドバイスが載っています。

確かに、それは一理あります。

インデックスファンドなら、米国の上場企業の株をまんべんなく持っているはずなので、ダウ平均株価が上がると伸びていくはずです。

まあ、そういう意見もあるという話でした。

おそらく素人が始めやすいのが節約と副業でしょう。

副業は僕の意見としてはブログとYouTubeがおすすめ。

YouTubeはいろいろトラブルが起きやすい場ですし、登録者1000人いかないと収益化すらできません。

しかし、アマゾンアフィリエイト(アソシエイト)を使えば、登録者100人くらいから、ぽつぽつ収益が入り始めます。

ブログは、最初のほうは閲覧数0というのが続くため、挫折しやすいです。しかし、数をこなすうちにどういう記事が閲覧されやすいのかがわかってきます。

なので、ブログは続けられる人にはいいのではないでしょうか。年1万5000円くらいでできますし。収益にならなくても、大損はしにくいです。

作成者: hiroaki

高校3年の時、模試で英語の成績が全国平均を下回っていた。そのせいか、英語の先生に「寺岡君、英語頑張っている感じなのに(笑)」と言われたこともある。 しかし、なんやかんや多読を6000万語くらい積んだら、ほとんどどんな英語文献にも対処できるようになった。(努力ってすごい) ゆえに、英語文献が読めないという人は全員努力不足ということなので、そういう人たちには、とことん冷たい。(努力を怠ると、それが正直に結果に出る) 今は、Fate Grand Order にはまってしまっていて、FGO 関連の記事が多い。