力が上がっている 【Chomsky and Halle を読んで】

僕は、「Chomsky の言語学に関する(入手可能な)全の文献を読んでいる」ということを謳い文句にしています。

実際、この言葉に偽りはありません。しかし、入手可能な」とついているところがトリッキーです。自分でもそう思います。

確かに、下に掲げた参考文献リストに載っている分は読みましたが、逆に言えばそれまでです。

このリストに載っていない物は、入手困難だったり、図書館で既に貸し出し中だった等の(しょうもない)理由で、入手できなかった文献です。

そして、1960年代の物など古い文献では、そうした入手困難なものが多いことも、だんだん分かってきました・・・

さて、Chomsky, Noam and Morris Halle (1968) The sound patterns of English. New York: Harper & Row. Reprinted by MIT Press in 1991. という本があります。

これは、タイトルからも分かる通り、音韻論に関する書籍です。

今年 (2023年) の1月くらいに一度手を出して、あまりの難易度の高さに、速攻で図書館に返した記憶があります。

最近、これ以外の Chomsky の著作を読み尽くしてきているので、再びこの本にチャレンジしてみようという気概が湧いてきました。

図書館の物は貸し出し中だったので、amazon で買いました。4000円くらいしましたが、これが一番手っ取り早いです。

(下が届いた商品です)

届いた商品はこんな感じです。まあ、よく言えば年代を感じさせてくれる、といった感じでしょうか。(悪く言えば汚れてる)

読んでみて驚いたのが、英語も、内容そのものも、死ぬほど簡単に思えた点です

もちろん100パーセント理解することは、まず不可能です。しかし、いつも自分が対峙している Chomsky の文献(例は下)に比べると、難易度は雲泥の差です。

ポケモンで例えるなら、レベル100ガブリアスとレベル10フカマルくらい違います。

因みに、僕が日常的に読んでいる文献は、以下のようなものです。はっきり言って、これらも、僕にとってはそれほど難しく感じられなくなってきました。

Chomsky, Noam (2021a) Minimalism: Where are we now, and where can we hope to go. Gengo Kenkyu 160: 1-41.

https://doi.org/10.11435/gengo.160.0_1

Chomsky, Noam (2015a) Problems of projection: Extensions. In: Elisa Di Domenico, Cornelia Hamann and Simona Matteni (eds) Structures, strategies and beyond: Studies in honour of Adriana Belletti, 1-16. Amsterdam: John Benjamins.

Chomsky (2021a) は、workspace と Form Copy について解説した論文です。

初心者には厳しいかもしれませんが、一応リンクを貼っておきました。そこから無料で入手可能です。

Form Copy というのは Minimal Search の一種で、同一の構造を持つ要素同士に copy の関係性を付与する物です (Chomsky 2021a)。

これまでは移動 (Internal Merge) でしかコピーができないとされていた理論を覆す提案です。しかし、かなり妥当性があります。

脇道にそれましたが、生成文法をやるなら、こうした文献を読んで理解していく必要があります。読んで分からなければ、そこで試合終了です。

僕の場合は、Chomsky (2021a) を読んでも分からなかったので、20回くらい読みました。すると、だんだん分かるようになってきました。

さて、こういう「高地トレーニング」ばかりやって来たせいか、Chomsky の昔の文献は、かなり楽に読めるようになってきました。

最近は、いくらトレーニングを積んでも、明確な成果が出ず、かなりしんどかったです。体調も崩していました。

Fate Grand Order というスマホゲームに逃げもしました。(証拠↓)

しかし、目に見えないところで成果は出ていみたいです。

例えるなら、自分のレベルが5から10に上がっても、レベル100くらいの敵と対峙している限り、目に見えた成果は出にくいのと同じです。

レベル5でレベル100の敵に挑んでも、レベル10に上げてから挑んでも、どちらの場合も敵に「瞬殺」されて終わりです。

要するに、努力は嘘をつかないということです。

これまで自分が頑張ってきた分の成果は、たとえ自分では気が付かないレベルの小さな変化でも、必ず出ています。

逆に、努力を怠った場合も、「実力が伸びない」という形で、自己の怠慢さが「雄弁に」姿を現します。

ということで、僕は、今夜も Fate Grand Order でレベル上げを頑張ります。おやすみなさい。

作成者: hiroaki

高校3年の時、模試で英語の成績が全国平均を下回っていた。そのせいか、英語の先生に「寺岡君、英語頑張っている感じなのに(笑)」と言われたこともある。 しかし、なんやかんや多読を6000万語くらい積んだら、ほとんどどんな英語文献にも対処できるようになった。(努力ってすごい) ゆえに、英語文献が読めないという人は全員努力不足ということなので、そういう人たちには、とことん冷たい。(努力を怠ると、それが正直に結果に出る) 今は、Fate Grand Order にはまってしまっていて、FGO 関連の記事が多い。