こんにちは、ヒロアキです。
多読を6000万語くらいして、硬めの洋書も読めるようになってきました。
以下の tweet がその証拠です。
Noam Chomsky の著作は言語学でも最も難しい部類にカウントされます。
昨日 Chomsky (2008) “On Phases” を読み始めて、今朝読み終えました。
今の僕はこんな感じで日々やっています。しかし、昔の僕の英語読解力はひどいもので、高校3年の時に受けた模試では偏差値45(全国平均以下)でした。
長文問題でほとんど点を取れていなかったので、そういう成績になってしまったのでしょう。
今回は、そういう人でも、どうしたら洋書をすらすら読めるようになるのかを解説していこうと思います。
1 洋書を読むために必要な物
これは僕の実感ですが、外国語として英語をやっている場合、洋書を読むためには、以下の2点を満たさないといけないようです。
① 英検1級レベルを遥かに上回る語彙力
② 圧倒的な英語の読み慣れ
どちらも、漫然と英語をやっていて身につくものではありません。
例外もありますが、今は一旦除外します。
2 洋書を読むための準備
大半の場合、洋書を読むためには意識的な努力が必要だと、僕は思います。
質問:あなたは意識的な努力をしていますか?
これに Yes と答えれれる人は、必ず洋書が読めるようになります。
どんな勉強法が合うかは、基本的にその人次第なので、自分に合った方法でやって下さい。
さて、何を頑張ったらいいか分からないという人へのアドバイスを以下に記しました。
(1)何が足りていないのかを確認する。
まず、読みたいと思っている洋書を準備してください。
できるだけ簡単なものが良いですが、あまり妥協するとモチベーションが低下するかもしれないので、そこは適宜判断してください。
そして、その洋書を読んでみてください。
この時、分からない単語や表現が1ページに複数出てくるなら、確実に語彙力不足です。
地道に語彙力を鍛えましょう。
語彙を増やすなら、単語帳の類が便利です。
大学学部時代の僕は単語帳アンチで、「実際の洋書を読んで出会った単語を覚えていけば良い」という考え方を持っていました。
そして、見事に挫折しました。
理由は明快です。
洋書が普通に読めるようになるには、2万語くらいの語彙が必要です。(この数字は結構適当で、実際は1万5000くらいかもしれないし、3万くらいかもしれない)
ちなみに、今の僕は、『英検1級英単語大特訓』という本に載っている単語を「簡単」だと思えるレベルです。
大学学部時代の僕は、受験の時から語彙力はほとんど変わっていませんでした。当時の僕が「英語の語彙力を増やす」という意識的な努力をしてこなかった結果です。
そんな状態で、読むために2万語くらいの語彙力を要求する本格的な洋書を読もうとするとどうなるか。火を見るよりも明らかです。
分からない単語が大量に出てきて、病んで終わりました。
当時の僕は、愚かにも「単語ノート」づくりを手掛けていました。実際に洋書を読んで出会った「新出単語たち」をノートに記し、その細かな用法や意味、さらには語源まで詳しく調べて、自分だけの「単語ノート」を作る気満々だったのです。
立派ですね。
しかし、少なくともあと1万5000個くらいの単語を覚えなければいけないのに、悠長に「単語ノート」なんて作っている場合ではありません。
1単語1ページかけたとして、あと1万ページくらいは書かなければなりません。
そんなの、無理に決まっています。
単語帳嫌いの人へのアドバイス:swallow your pride 「プライドを捨ててください」
洋書を読むためにはそれなりの語彙力が必要です。
よほど地力があるとか、外国語習得の才能がある等の例外的な場合を除き、単語帳に頼るのはアリだと僕は思っています。
おすすめの単語帳は、
初級:『必携英単語LEAP』
中級:『英検準1級英単語大特訓』
上級:『英検1級英単語大特訓』
等です。もちろん、自分に合うものを使っていただけたら OK です。
『Leap』に関しては、僕がある程度信頼している竹岡広信という人が書いた本です。
語源や、単語の意味を明確にイメージできる例文が豊富に載っているので、僕みたいに丸暗記が苦手な人におすすめです。
おそらく、高校レベルの英単語帳では最も優れている部類です。昔は職業柄他も色々探っており、『英単語Stock3000』なんかもなかなかいいと感じだと思いました。
『英検準1級大特訓』に関して。
英検準1級の語彙は、英語の核みたいなものです。ちょっと難しめですが、洋書を読んでいるとどんどん出てきます。adjacent to 「隣接する」とか、そういった類の単語です。
今の僕はこれくらいのレベルの単語を使って論文を書いています。逆に言えば、これくらいの単語がないと論文は書けません。
英検準1級レベルの単語帳で一番優れていると僕が思うのは、『英検準1級大特訓』という本です。
この本も一単語ごとの説明がしっかりしています。語源を使った覚え方や、例文が豊富に載っており、おそらく覚えやすさで類書を圧倒しています。
少し残念な点は、最後の時事英単語の部分が完全に丸暗記用になっています。この辺りに少し説明を加えてもらったら、もっと良くなっていたのにと思いますが、一般語彙のセクションが秀逸なので、全体の評価は変わりません。
最後に『英検1級英単語大特訓』について。
洋書をある程度読むと分かるはずなのですが、英検1級に登場する語彙は、並レベルの難易度の洋書にも普通に登場します。allocate とか、acuiesce to, conjure up、等ですね。
よって、英検1級レベルの単語は決して難しいものではなく、洋書や英語ニュース(ABC, CNN) 等を理解するための必須語彙だと言えます。
このことを理解せずに洋書に突き進んでいくと、僕みたいに洋書に返り討ちにされます。(多分)
残念ながら、このレベルを扱った単語帳がそもそも少ない気がします。
そこまで英語をやっている人は少数派ですからね。出版社の気持ちも分かります。
昔から、英検1級レベルの単語帳を積極的に書いていたのが植田一三というおっさんです。
彼の本に頼ってみるのもいいと思います。
『英検1級英単語大特訓』では、膨大な量の単語を「シソーラス」の形式で紹介しています。要するに、意味の似ている単語をまとめて覚えられるようになっています。
これなら、かなりのボリュームがある英検1級レベルの単語にとっつきやすいですね。
(2)結局、英単語の学習は一生終わらない
いくら英単語帳をやろうが、ある程度以上の単語は学習困難です。
おそらく「英検1級+α」くらいからこういう壁にぶち当たるはずです。
そうなったら、ひたすら多読です。
ここから先は、自分のレベルにあった洋書を多読しながらであった単語を覚えていくのが吉。
もちろん多聴でもいいのですが、スクリプト(字幕)を見れる教材である必要があります。その時点で選択肢がかなり狭まります。
一方、多読の場合は、レベル付きの洋書に進んでみてください。以下の記事に僕のおすすめをまとめています。
参考までに、英検1級を取った後の僕もこうしたレベル付きの洋書を読んでいました。
しかも、レベル3等の簡単な物を中心にです。
そうやって1年近くかけて準備することで、レベルのついていない洋書が読めるようになりました。
今は専門書や論文ばかり読んでいて、一般的な語彙が弱くなっているという実感があります。afford to が会話でパッと出てこなかったことすらありました。
しかし、やはり『英検1級英単語大特訓』に載っているレベルの単語は簡単に思えます。
というか、もはやこれくらいのレベルの単語を論文で使います。upshot とか、repurcussion とかです。
自分がすごいアピールをしているのではなくて、それくらいないと洋書に歯が立ちません。
英単語帳ばかりやっていてこうなるのは無理だったでしょう。多読をしながら、日々出会う単語を覚えていったのでしょう。
意識的に「覚えよう」としたことはありません。boulder 「(大きめの)石」なんて、「ボルダリング」の boulder だな、とか、語源を調べる術と、それを活用した覚え方だけは残っていたので、そうやって少しずつ覚えていきました。
相しているうちに多読6000万語です。ここまで来ると、今まで何度も出会った英単語は勝手に覚えてしまっていることが多いです。
(3)「語彙は足りているが読めない」人向け
分からない単語にはほとんど出会わないが、どうしても読めないという場合は、おそらく読み慣れていないせいです。
ある程度英文を読んでいると、英文をしっかり目で追えるように」なってきます。目が吸い付く感じです。
そこまで至るのに200~300万語くらいの多読は必要だと思うので、とにかくやってみましょう。
さて、文法が分かっていないから読めないというケースもあり得ます。
しかし、これは意外と少数派です。高校までの英文法が大体分かっていれば、あと必要なことはほとんどありません。
巷では「英文法が足りていないから読めない」という発想に導く本が沢山売っています。
言語学でも文法 (syntax) という分野をやっている僕から言わせると、大抵の場合、それは嘘です。
そういう本を書くのは比較的楽だし、本が売れたほうが出版社的にも嬉しいので、巷にはそういう本があふれてしまっているのです。
僕は出版社との利害関係がないのではっきり言っておきますが、読めない場合の大半は読み慣れていないからです。
文法にかじを切るのは、少し待った方が良いです。
もし本当に文法が足りていないと思うなら、高校レベルの文法事項の復習に専念してみてください。
超人気講師のスーパー授業 竹岡式やり直し英語 (AERA Englishブックシリーズ) や、類似の薄めの本に当たると良いでしょう。
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