1 コスパの高い娯楽とは
そもそも、「コスパが高い娯楽」とはどう定義すればよいのでしょうか。
コスパとはコストパフォーマンスの略です。少ない対価や少ない労力で多くを得られることをコストパフォーマンスが高いと言います。
つまり、かかるお金のわりに沢山遊べる娯楽や、長く遊べる娯楽がコスパが高いと言えそうです。
このことを踏まえ、これまでの僕の経験からコスパの高い娯楽を割り出してみましょう。
2 勉強のコスパは微妙
娯楽の定義は調べていないので良く分かりませんが、それなりに面白くて時間を潰せるものだと思っています。
面白くないものを娯楽とは呼べないし、一瞬で終わってしまうものもまた娯楽ではないでしょう。
だとすると、それなりに面白く、なおかつ相当時間がかかる勉強というものは一種の娯楽と呼べないでしょうか。
事実、自分の好きでやっている勉強は僕にとって娯楽です。
ただし、かなりお金のかかる娯楽であることは間違いないでしょう。
例えば、僕のやっている言語学なら、本や論文が必要です。
そして、これらが割と高価なのです。
例えば、僕が最近読み終えたThe Final-Over-Final Condition: A Syntactic Universal という本は、ペーパーバック版(廉価版)でも6000円くらいします。ハードカバー版ならその倍くらいの値段がしてしまいます。ちなみに、ペーパーバック版は、5~6回読むとページが本体から剥離してきます。
因みに、この本は他の専門書と比べてかなり安い方です。The Cambridge Grammar of the English Language という、英文法をやっている者にとって必読書と言ってもよいくらい重要な本がありますが、かなり高価です。少なくとも3万円くらいはします。
上に挙げた2冊だけでも充分高いように思われますが、まともな研究をするなら、せめて書籍と論文を合わせて100くらいは読んでいないと話になりません。
論文に関しては、大学に通っているなら、大学が契約している者に関しては無料で閲覧・ダウンロードが可能なはずです。
しかし、自分一人で研究しているという人ならば、自分で各種ジャーナルと契約を結ぶか、必要な論文を一本一本買っていく必要があります。
因みに、論文一本当たりの値段は大体5000円くらいです。
まとめると、勉強(学問)というのは、結構お金がかかるのです。
僕は勉強は贅沢であるとまで思っています。
ただし、そんなにレベルの高くない勉強ならあまりお金はかからないので、コスパが高いと言えそうです。
僕は大学3年の時に英検1級対策に英単語を勉強しました。
その時取った勉強法は、辞書を読むというものでした。
辞書と言っても収録語彙数の非常に少ない語源辞典なので、2か月程度でほぼ全ページを読むことができます。
さらに、語源辞典なので、各単語の語源が割と詳細に解説されているので、読んでいて面白かった覚えがあります。
因みに、その時読んだ辞書のタイトルは、『語源中心英単語辞典』と、『語根中心英単語辞典』です。後者に関しては、辞書というよりむしろ単語リストに近いボリュームです。それでいて語源が詳しく解説されており、割とおすすめです。
どちらもそれほど高価ではなく、それでいて2か月くらい楽しめるので、概してコスパが高いと言えます。
よって、研究レベルに達していない勉強ならコスパが高そうです。
3 YouTubeを勧めない理由
では、コスパの良い娯楽とはいったい何なのでしょうか。
コスパが低い=「少ない対価でかなり楽しめる」もしくは、「少ない対価で長く楽しめる」と言い換えることができます。
この「少ない対価で」の部分だけを見ると、YouTube等の無料の娯楽が最強なのではと勘違いをしてしまう人が多く出てしまいそうです。
僕自身YouTube中毒になった経験があるのではっきり言えますが、YouTubeはあまりお勧めしません。
SNSは脳にとってもメンタル面でもマイナスの面が多く、また、そもそも中毒になるように設計されていることが話題になっています。
日本ではこういうことは話題になっていないのかもしれませんが、僕のように外国のニュースをよく聞いている者にとってはお馴染みの話題です。
書籍でもこうしたことが度々とりだたされています。アンデシュ・ハンセンの『スマホ脳』がこのカテゴリーで一番知名度が高いでしょう。
4 ナルト全巻
SNSなど無料の娯楽には、人の集中力を奪うという負の側面があります。
では、どういった物を娯楽にするのがふさわしいのでしょうか。
僕が思うに、少し古めの漫画の全巻完結セットはかなり「お買い得」なのではないでしょうか。
漫画というのは、その時折の流行で売れ行きが大きく変わります。2022年の時点でかなり勢いのある『呪術廻戦』なんかはかなり高値で取引されていそうですが、10年後古本を買うとすればかなり値が落ちていそうです。
しかし、この漫画そのものの面白さ(もしあればの話ですが)は10年たとうが20年たとうが失われることは無いはずです。
しかし、旬が過ぎた漫画は、かなり安く中古が手に入ります。
これは結構おいしいのではないでしょうか。
例えば、『NARUTO-ナルト- コミック 全72巻完結セット』なんて中古で5000円しません。
まだこの漫画を読んだことがない人にとっては、これは相当おいしい話です。
この漫画は相当面白く、かつて僕も受験勉強そっちのけで読みふけった記憶があります。
しかし、今の大学生かそれより下の層にとってはいささか古すぎるらしく、価格が下落してしまっています。
しかし、繰り返しになりますが、この作品そのものの面白さは不変なはずです。
おそらく、『ナルト全巻』はその内容的に、一般的な中高生の夏休み一回分の娯楽にはなるはずです。
これが5000円以下で売られているのです、お買い得じゃないですか。
『ナルト』以外でも、『犬夜叉』や『北斗の拳』など、少し古いが面白い漫画は探せば沢山あるはずです。
こういった作品は全巻セットが中古で安く取引されています。
有意義に一夏分の時間が潰せるのではないでしょうか。
5 amazon prime
これは国民の大多数が加入しているサービスなので、今更僕がとやかく言う必要はないでしょう。
1か月500円くらいで無料のお急ぎ便などの特典が使えるという宣伝文句のPrimeですが、一人暮らしをしていたころは、このお急ぎ便がそれほどありがたかった覚えはありません。
むしろ、無料の時間指定ができるところがありがたかったですね。
そもそも日中は仕事で外出しているので、何かを届けてもらったとしても受け取ることはできません。
そこで、19時以降のお届けが無料で選択できるPrimeは重宝した者です。
ただし、これよりもっと重宝したのが、Prime Videoの無料特典です。
amazonが売っている映像媒体をamazon prime videoと呼ぶらしいのですが、amazon prome加入者なら無料で見れるものが一定数存在します。
prime videoは大きく分けて、映画、ドラマ、アニメに3分割されます。
ドラマはそもそも見ないので分かりませんが、映画は割とよく見るので、定期的にチェックしていました。
そこから判断すると、amazon primeで無料で見れる映画は、その時期に話題の作品か、しょぼい作品である傾向が強かったです。
その時期に話題になる作品とは、要するに続編がその時期に公開されているような映画です。
丁度、『ターミネーター・ニューフェイト』が公開される頃になると、『ターミネーター』の旧作がamazon primeで無料で視聴できるようになりました。
『ターミネーター』シリーズは、ほぼ全作良作だとは思いますが、ここに商業的な意図が絡んでいることは明白です。
こういう商業的意図が絡んでいないが、amazon promeの会員特典で無料で視聴可能な映画は、はっきり言って期待しない方がいいです。
もちろん過去の名作もありますが、それはあくまでamazonが客寄せとして公開している物です。
あまり期待しすぎると後悔しかねません。
一方、amazon primeのアニメ部門はかなり優秀です。
その時期の旬のアニメはほぼ網羅しています。
例えば、2021年末~2022年初めに放映され話題になった『86―エイティシックス』も視聴可能になっていました。
また、過去の良作の内半分くらいはprime会員特典で視聴可能です。
これは一人暮らしの人にとってはかなりコスパが高いのではないでしょうか。
無料で時間指定便が使え、なおかつ過去の良作アニメの半数くらいは追加料金なしで視聴可能なのです。
5 d-アニメストア
これだけamazon prime を褒めている僕ですが、その実、僕自身はamazon promeに加入していません。
理由は単純です。
僕にとってもっといいいサイトがあるからです。
僕は専らウェブでアニメを見ます。
昔はamazon primeでアニメを見ていたのですが、少し古めの作品(例えば、2010年代くらい)からどうしても品ぞろえが悪いと感じていました。
そこで、d-アニメストアというサイトを利用するようになりました。
このサイトは、1か月440円で使えます。アニメだけしか見ることはできないのですが、その代りアニメに関してはおそらく日本でも1位か2位くらい品揃えが豊富です。
よって、目的がアニメだけなら、僕はこのサイトを推します。
6 読書
実は読書もかなりコスパの高い娯楽です。
和書は専門書でもない限り安いものが多いですね。
今となっては、僕は日本語で書かれた本を読むことは珍しくなりました。しかし、学部生時代は和書も結構読んでいた方です。
大学に入るまでは本を読むことがほとんどなかったのですが、大学入学後に本好きになりました。
僕を本好きにしたきっかけは、『銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎』という本です。
当時の西洋史学の教授の推薦図書だったこともあり読み始めたこの本は、なぜヨーロッパで文明が発達し、産業革命や資本主義が生まれたのに、アジアやアメリカではそういう現象が起こらなかったのかを、地理的に説明しています。
著者の数十年の研究が詰まった本書は、読む者を圧倒するでしょう。
真に驚くべきことが、こうした書籍が1000円くらいで手に入る点です。
先ほども述べた通り、洋書の研究書なら一冊1万円くらいするのが当たり前です。
それに比べて一冊1000円くらいで手に入る文庫本は、コスパの高い娯楽と見なせるのではないでしょうか。
ご存じの通り、世界中のありとあらゆる文学作品の和訳が文庫本で手に入ります。
わざわざ日本語に訳されるくらいなので、こうした文学作品は、①よほど高尚であるか、②世代を問わず楽しめる良作かの2択でしょうね。
ミルトンの『失楽園』やオスカーワイルドの『ドリアングレイの肖像』などは①であるような気がします。しかし、②のタイプも探せば意外と多く見つかります。
例えば、『ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』などは②のタイプであるという印象を受けます。
それほど高尚で分かりにくい場面はありませんし、和訳版は読んでいて普通に面白いです。
どちらも作品名だけは世間的によく知られていますが、実際に読んだ人は意外と少数派なのではないでしょうか。
7 ペーパーバック洋書
これは昔僕がかなり入れ込んだ娯楽です。
先ほど洋書は高いと言ったのですが、ペーパーバックの小説は洋書でも安く手に入ります。
今は円安になってしまったので事情は違うでしょうが、2019年くらいまでは、一冊1600円くらいで小説を買うことができました。
例えば、ハリーポッターシリーズは全7巻です。1600x7で、1万数千円で全巻を堪能できるのです。素晴らしくないでしょうか。
ハローポッターシリーズは全部で100万語くらいある長編です。
僕でも全て読むのに1か月くらいはかかります。しかし、逆の見方をすれば、1万数千円で一般的な大学生の夏休みの半分くらいの時間は有意義に潰せるのです。
英語力をつけ、なおかつ娯楽にもなるとは、ペーパーバックの洋書も捨てたものではありません。(専門書を置くスペースを作るため、僕はほとんどペーパーバックの小説を捨ててしまいましたが。)
ハリーポッターを読むレベルに達していないという人も大丈夫です。
面白くて(英語が)読みやすい洋書など、世の中に沢山あります。
例えば、僕が2019年くらいにはまったGiftedというシリーズがあります。
Marilyn Kayeという人が書いたこのシリーズは、SF じみた才能を持つ学生が通う架空のクラスを題材にしています。
平易な英語で書かれていながら、内容的にもほどほどに面白く、全冊飽きずに読めた覚えがあります。
ちねみに、僕がいちいち紹介しなくとも、『英語多読ガイド』系の本が世の中に出回っており、そういった本には、洋書の難易度と内容が載っています。
こういうものを参考にしてどの小説を読むか決める手もあります。
8 懐かしのポケモン
今のゲームは全般的にオンライン要素が増え、課金やら対戦やらが主軸になってきているような気がします。
もっとも、最近はめったにゲームをやらない僕が言ってもあまり説得力がないのですが。
一方で、僕が小中学生だったころは違いました。具体的にはポケモンダイヤモンド・パール・プラチナのころです。
このころのポケモンはストーリーが面白く、やりこみ要素も多かったのです。つまり、オンラインなどに頼らずとも、自己充足していました。
ゲーム機本体とカセットさえあれば、200時間くらい潰せてしまうのですね。
ポケモン・ダイヤモンド/パール/プラチナ なら、DSがあれば遊べるはずです。
もし今後も興味が出て、ポケモンXYなどをするという可能性を考慮すると、3DS対応機種を買っておくとかえってコスパがいいかもしれません。
ちなみに僕がニート時代に(親の年金で)買った機種は、「ニンテンドー2DSLL」でした。画面がきれいで大きく、少し電池の持ちが悪いことを除けば文句なしの機種でした。
8 ブログ執筆
これが娯楽になるかどうかは人によります。
僕の場合は、そもそも文章を書くのが昔から得意で、かつ苦になりませんでした。
今でも覚えているのは、小学3年のころ、国語の課題で「物語を書いてくる」というお題が出て、先生が「みんな、できるだけ長く書こう」と言ってきたため、僕は20ページ以上を書いて行ったことです。
それでもまだ一章目のつもりだったのですが、先生に「もういいから」と止められた記憶があります。
その時に気が付いたことですが、どうやら他のクラスメイトのほとんどが、原稿用紙1枚を埋めるのもやっとのことだったのです。
当時は、「周りはへぼい」としか考えられなかったのですが、今思えば、自分が文章を(長く)書くという才能に恵まれていたのかもしれません。
なので、このブログ執筆も、僕にとっては単なる余暇です。
厳密に言えば、生成文法解説など、学問的なことをやるときは結構気を使っています。
しかし、それ以外のセクションは基本的に僕が勉強から逃げてきた結果としてできた「副産物」です。
しかし、この「副産物」が収益を生んでいます。
そもそもブログを始めるためにはお金が必要です。
詳しいことは他人に譲るとして、ドメイン名を借りるのに年間1500円くらいかかり、さらに、レンタルサーバー代で年間1万4000円くらいかかるという認識を持っていてください。
つまり、年間維持費で1万5000円くらいはするこのブログですが、文章を書くのが得意な人にとっては、ある程度の娯楽になります。
なぜなら、レンタルサーバーの容量がかなり大きいので、(動画ではなく)文章を投稿している限り、ほぼ無限に書き続けられます。
しかも、自分が書いた作品を世に問うことができます。
小説などのフィクションを書くのが好きな人も、(法律に違反しないレベルで)好きに書き、好きに投稿できます。
これはもう、実質的にデジタル世界で自費出のと同じです。
現実世界で自費出版すると、よほどの大物でもない限り、多額の負債を背負うことになります。
もっと言うと、大物でも市場を読み違えると多額の多額の負債を背負います。
例えば、明治期の大英語学者である斎藤秀三郎。
『熟語本位 英和中辞典』などの卓越した辞書類で知られている彼ですが、文法解説書を自費出版し、多額の負債を背負ってしまったことがありました。
斎藤秀三郎の文法解説書は今になって再評価が進んでいますが、当時はなかなか売れなかったのですね。
彼のような強者でもこうなるのです。自費出版は本当に危険です。
もちろん自費出版で成功した人も世の中には存在します。
『中学歴史 令和2年度文部科学省検定不合格教科書』を書いた竹田 恒泰氏は自費出版で本を出し、大成功していました。
しかし、彼は特別な存在です。メディア露出も多く、過激ながら的を射た発言で、多くの固定客を持っていました。
彼の本だから買うという人が多い状況で自費出版する人と、あまり知名度もなく、扱うトピックも万人受けしない人を同じ尺度で比べることはできません。
しかしブログなら、たとえ収益にならずとも、年間の赤字はせいぜい1万5000円くらいです。
皆さんがゲームで課金に費やす額より遥かに少額です。
以上をまとめると、ブログは運営するために多少の出費が必要である。しかし、文章を書くのが好きな人にとっては、かなり長い時間楽しめるので、コスパのいい娯楽だといえる。
実際に、ブログを始めてから僕の月々の出費は減りました。
以前なら、暇な時間があるとついついweb site「日本の古本屋」などを閲覧してしまっていました。しかし今は、ブログ執筆でかなりの時間がとられてしまっているため、お金を使う時間というyのが減ってしまいました。
すると、当然のことながら月々の出費は減り、代わりに少しばかりの収益が入るようになりました。