【生成文法】labelling algorithm をやる人のためのおすすめサイト

1. 前提:labelling algorithm をしている人は、ほぼいない

生成文法の理論は、日々更新されています。

1960年代は Phrase structure rules というのが主流でした。どんなものか知りたいという人は、Chomsky (1965) をご覧あれ。

1980年代~90年代の半ばには、X-バー理論というものが主流になりました。これに関しては、知っている人という人が多いのではないでしょうか。

90年代後半~2010年くらいまでは、Merge を使って X-bar の構造を組み上げるというアプローチが普通のやり方でした。

2013年からは、Labelling algorithm が主流になる・・・はずでした。しかし、そうはなりませんでした。

Labelling algorithm というのは、Chomsky (2013) “Problems of projection.” と Chomsky (2015) “Problems of projections: Extensions.” に基づいたアプローチです。

以下が Google で調べた Chomsky の著作の被引用数です。

ここ最近だと、やはり The minimalist program がたくさん引用されていますね。3万回くらいです。

同じ人が10本論文を書けば、同じ作品を10回参照することになります。

なので、「引用数 ≠ 競技人口」 なのですが、やはり、引用数から各アプローチを採用している人の規模感がつかめます。

Labelling algorithm を扱った論文が上位に表示されません。

めちゃくちゃ下にスクロールすると、やっと出てきます。

 Problems of projection: Extensions が、700回くらい引用されています。

これが、labelling algorithm をやっている人の「競技人口」です。同じ人が何本も論文を書いて、そのすべてで POP + を引用すれば、引用数は跳ね上がるので、厳密な意味での競技人口は、もっと少ないです。

The minimalist program が3万回引用されているのに対し、POP + は700回程度です。

30分の1以下ですね。少なくなったものです。

これじゃあ、Fate Grand Order の星4サーヴァントくらいレアです。(いることはいるが、20~30回ガチャを回さなきゃ出てこないレアキャラのこと)

2. 仲間がいないと、研究は困難

3.お役立ちサイト

① Zeljko Boskovic 氏の紹介サイト。

師はコネチカット大学教授で、labelling algorithm の枠組を採用している数少ない研究者の一人。

コネチカット大学の教員紹介 web site の師のページからは、師の論文が(ほぼ)すべて無料でダウンロードできる。そして、師は無茶苦茶多作。(英語では、こういう人を prolific という。)

以下の URL から当該のページに飛べるはず。

Papers to download | Zeljko Boskovic (uconn.edu)

この手の URL はホームページが改修されるたびに変わることがあるので、そういう場合は、師の名前で google 検索してみるとよい。

② Saito Mamoru 氏の紹介サイト

Saito Mamoru 氏は、MIT の大学院で Chomsky の下で学んだすごい人である。

実のところ、そういう「すごい人」は世の中に掃いて捨てるほどいるのだが、そういった人たちのうち、大多数が近年の Chomsky の論文をガン無視している。(これはマジ)

Saito Mamoru 氏のすごいところは、今でも Chomsky の最新の論文を参照し続けている点である。

当たり前のように聞こえるが、近年(2020年代)は MIT の博論でさえ、参考文献リストに載っている Chomsky の最新の論文は Chomsky (2008) “On phases” という事態が、普通にある。

Chomsky (2013) “Problems of projections.” Chomsky (2015) “Problems of projection: Extended.” はどこに消えたのだろうか・・・

もっとひどい場合は、MIT 卒の生成文法の専門家が論文を書くとき、2,023年発表のものでも、最新の Chomsky の論文は Chomsky (2004) “Beyond explanatory adequacy.” という場合すらある。

僕の計算が正しいなら、そういう人にとっては、Chomsky が20年くらい前に死んでいても、研究の上では何の影響もないということになる。

という具合に、Chomsky の論文は年々参照されなくなってきている。

4。

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カテゴリー: Hiroaki

作成者: hiroaki

高校3年の時、模試で英語の成績が全国平均を下回っていた。そのせいか、英語の先生に「寺岡君、英語頑張っている感じなのに(笑)」と言われたこともある。 しかし、なんやかんや多読を6000万語くらい積んだら、ほとんどどんな英語文献にも対処できるようになった。(努力ってすごい) ゆえに、英語文献が読めないという人は全員努力不足ということなので、そういう人たちには、とことん冷たい。(努力を怠ると、それが正直に結果に出る) 今は、Fate Grand Order にはまってしまっていて、FGO 関連の記事が多い。