このシリーズを作った理由
英検1級に出てくる単語は、どれも重要な物ばかりです。
自分としても、英検1級レベルの単語+α くらいを習得したころから、洋書に手が出せるようになった記憶があります。
洋書が読めるようになって気が付いたのですが、英検1級レベルの単語は、洋書に当たり前に登場する物ばかりです。
ゆえに、英検1級レベルの単語は、「あったらいい」のではなく「必須」なのです。
しかし、そんな英検1級レベルの単語をやろうにも、敷居が高いのが現状です。
①そもそも、英検1級レベルの語彙を扱った単語帳の数が少ないです。
英検準1級くらいまでは、色々な出版社が様々な単語帳を出版しています。
中には、かなり質の高いものもあります。
しかし、英検1級レベルの単語帳は、そもそも数が少なく、あったとしても「丸暗記もの」ばかりです。
「丸暗記系」とは、例文や語源的な解説などがなく、ただただ単語と訳語がリスト化されているような本を指します。
『パス単』などが典型例でしょうか。
語学の才能のある人ならこういう単語帳でも問題なく覚えられるでしょうが、僕はダメでした。
結局、英検1級レベルというフィールドまで生き残っている学習者は。(僕以外は)語学の才能がある人達ばかりとい現状が響いているのでしょう。
なので、無いものは僕が作ります。
このシリーズのコンセプトは、英検1級やそれ以上のレベルの英単語を扱いつつ、語源や、僕が普段多読する中でよく見るフレーズなども情報を加えた単語リストを目指しました。
注意)
※アルファベット順にしようと思うのですが、実際のところは、僕が思いついた順です。
Oxford English Dictionary 等、様々な辞典を参照しました。
例文の訳は僕が行いました。
また、語彙の選定に関しては、植田一三著『10000語レベルスーパーボキャブラリービルディング』等、多数の単語帳を参考にしました。
・allude /əˈlud/ verb
‘allude to~’ 「~をほのめかす」
例)allude to the possibility 「その可能性についてほのめかす」
例)2003 T. Litt Finding Myself 143 This evening, when I alluded to our midnight meeting, Cecile blanked me. (“allude, v” OED)
「今晩、夜中に会うことについてほのめかすと、セシルは無視した。」
解説)
OED によると、「間接的に言及するとか、触れる」くらいの意味。refer indirectly to に近い。
語源的には、al + lude からできている。
al は ad から来ていて、方向性を示しているだけで、ほぼ意味はない。
lude は古典ラテン語 lūdere ‘to play’「遊ぶ」からできている (OED)。
つまり、「遊び半分に言及する」感じ。
同じ lūdere 「遊ぶ」からできた単語に、ludicrous, adj. 「バカバカしい」という単語がある。これも英検1級レベルの単語。
例)a ludicrous idea 「バカバカしいアイデア」
・allocate /ˈæləˌkeɪt/ verb
‘allocate ~ to ・・・’「~を・・・に割り当てる」
例)They allocated 3% of the advertising budget to newspaper ads. (“allocate, verb” Cambridge Dictionary: make your words meaningful)
「彼らは広告費の3パーセントを新聞広告に割り当てた」
例)2008 Art Q. Spring 67/4 Tickets are allocated on a first-come, first-served basis. (“allocate, v” OED)
「チケットは、来たもの順で割り当てられた。」
解説)
「仕事や取り分等を割り当てる」という意。
OED によると、古典ラテン語 allocat から。厳密には、この語は、ラテン語 allocare 「有効と認める、入れてやる」の過去分詞語幹。
al + locare からできた単語。
al は ad からできた「方向性」を示す接頭辞。意味は、ほとんどない。
ラテン語 locare は、「ある場所に置く」という意味の英単語 locate と非常に関係性が深い語。
al + locare で、元々は「ある場所に置く ⇒ 雇う ⇒ 割り当てる」となったらしい。
しかし、locate 「場所」から、「ある場所に割り当てる」と覚えたほうがいいように思う。少なくとも僕はそうした。
・amass /əˈmæs/ verb
「(富、お金等)~を蓄える」
例)amass a fortune 「一財産蓄える(=財を成す)」
例)amass a wealth 「財を成す」
解説)
OED によると、a + masser からできている。
a は、ad からできた「方向」を意味する接頭辞。意味はほとんどない。
masser は、名詞 mass 「大きな塊、質量」と関係がある単語。
確かに、「大きな塊」と「一緒にする⇒蓄える」ことには関係性がありそうだ。
・avert /əˈvɝːt/ verb
「(危険など)~を避ける」
例)avert a danger 「危険を避ける(回避する)」
例)aver a crisis 「危機を避ける(回避する)」
解説)
「(危険など)を避ける」という意味。
OED によると、最初に使われた意味は、”To turn away” (“avert, v” OED) で、「方向を変えて避ける」である。
古フランス語 avert-ir からできた単語であり(OED)、この古フランス語の単語は、古典ラテン語 āvertĕre からできている (OED)。
古典ラテン語 āvertĕre は、a (=ad) + vertĕre からできている。
a の部分は、本質的には ad ‘from, away from’ の意味である。
vertĕre は「回る、回転する」という意味である。revolver 「回転式拳銃」にも入っている vol 「回る」と関係の深い語である。
因みに、vertĕre 「回る」は、volume 「巻」とも関係が深い。
昔の本は巻物だったらしく、「一巻」イコール「一巻き」であったらしい。
References (dictionaries) – 言語学研究家・Hiroaki (linguist-ht.com)