どうも、ヒロアキです。
今回は、俺流 Chomsky スペシャルの作り方を解説していこうと思います。
そもそも Chomsky スペシャルとは?
「Chomsky スペシャル」というのは、僕の造語です。
自分の好きな Chomsky の論文をまとめて簡易製本したものを、こう呼んでいます。言ってみれば、自分オリジナルの Chomsky の論文集です。
Chomsky は実に多作な学者です。言語学についてだけでも、かなり多くの著作があります。
もちろん、The Minimalist Program のように、書籍として刊行されているものもあります。(実はこれも4本の論文をまとめて出した論文集)
しかし、彼の著作の圧倒的多数が論文です。いちいち印刷して分けて運んでいた時もありますが、やはり不便です。
そこで、Chomsky の論文を数本まとめて製本すれば便利なのではないかと、最近思いたのです。こうしてできた自分オリジナルの Chomsky の論文集を「Chomsky スペシャル」と呼んでいます。
(「どんだけ Chomsky 好きやねん!」と突っ込まれそうです)
Chomsky スペシャルの作り方 ~これであなたも生成文法家~
Twitter で作り方を解説した通りです。
Chomsky スペシャルの作り方
1)論文をダウンロード
これは、Linguistic Inquiry や Lingua 等の各学術誌のサイトで行います。
ちなみに、Chomsky がどのような論文をどの学術誌に投稿してきたかは、僕の参考文献リストにかなり詳しく載っています。これから Chomsky スペシャルを作るつもりの人は、ぜひ参考にしてみてください。
学術論文には無料の物もありますが、基本的には有料です。論文を一本ダウンロードするのに、大体50(米)ドルくらいかかります。
しかし、あなたがもしどこかの大学に籍を置いているのなら、その大学が契約している学術誌に載っている論文は無料でダウンロードできるはずです。
僕は現在京都大学に学籍があるので、京都大学が契約している(=年会費を払っている)学術誌の論文を無料でダウンロードできます。
ここで裏話を一つ。
皆さん、京都大学が契約している学術誌の数は多いと思いますか?
京都大学は、まあ、日本では「上」の方の大学です。なので、他の大学に比べて研究資金が潤沢で、さぞかし多くの学術誌と契約している(=年会費を払っている)と、世間的には考えられているのかもしれません。
しかし、留学生と話していると、どうやらそうではないらしいことが分かってきました。
イタリア人とアメリカ人の留学生と話していると、京大は physical library (物理的な図書館)はすごいが、電子ジャーナルはそんなに多くの所と契約していないという話題になりました。
イタリア人留学生曰く、日本の他の大学と比べても少ない方なのだそうです。
それを聞いて、僕は、「確かに、思い当たる節はあるな」と思いました。
例えば、Chomsky (2007) “Biological Exploration: Design, Development, Evolution.” は、Internatinal Journal of Philosophical Studies という学術誌(ジャーナル)に掲載されています。
これをダウンロードしようと思い、当該の学術誌のウェブサイトに行った時のことです。
サイト側が「あなたが所属している教育機関を選んでください」と言ってきました。京大が契約している雑誌なら、Kyoto University と入れるとアクセスできるはずです。しかし、
上のキャプチャが示す通り、京都大学はこの学術誌と契約していません。京都府立大や京都精華大などは名前が出てきたので、この学術誌と契約しているようです。つまり、「京大<京都府立大=京都精華大」なのでしょう。悔しいです。
このように、自分が通っている大学が当該の学術誌と契約していない場合、その論文を買うしかありません。
買うとなった場合、この論文1本で50(米)ドルです。ここは、素直に買いましょう。
さて、こうしてある程度の数論文のダウンロードが済むと、次の工程に移ります。
2)論文を印刷
論文を印刷する時も、いくつか注意したい点があります。
製本機で綴じて本のように読みたいのであれば、設定は「両面印刷・長編を綴じる」を選びます。
そして、意外と盲点なのが、印刷する時のサイズです。
文字が小さければ、その分目が疲れます。読む気も萎えてきます。
なので、できるだけ大きな文字で印刷できるように、設定を工夫します。
ほとんどの場合、「実際のサイズ」ではなく、「用紙に合わせる」を選べばOKです。
たまにそうでない時もあるので、そこは柔軟にプレビューを確認しながら進めましょう。
また、論文集などの書籍のデータから、一章(論文1本)だけを抜き取って印刷する場合は特に注意が必要です。
この場合は、「実際のサイズ」でも「用紙に合わせる」でもなく、パーセンテージを指定しての拡大印刷をすることを勧めます。
本にもよりますが、115パーセントくらいで拡大印刷すると、かなり見やすいサイズになり、なおかつ端っこが切れないことが多いです。
さて、ある程度の数の論文を印刷したところで、今度は製本に移ります。
3)年代ごとにまとめて、製本機で綴じる
(下が実際に製本機で綴じているところです)
そうすると、下の写真のような論文集が出来上がります。
これは僕の Chomsky スペシャル1号です。
言語学にかかわる彼のメジャーな論文の内、学術誌に掲載された物を中心に集めて、年代順に綴じました。
年代順になっているため、一番最初が Chomsky (1977) Filters and Control で、一番最後が、Chomsky (2021) “Minimalism: Where Are We now, and Where Can We Hope to Go” になっています。
この一冊だけでかなり多くのことが学べる、自分でも納得の作品になったと思っています。