1,英文を正確に読む力がないと厳しい
多読は僕にとっては効果的でした。なので、ついつい人に勧めてしまいがちです。
しかし、よくよく考えると、僕には英文をしっかり読む癖がありました。
「正確」というほどではないにしても、ある程度しっかり読む癖はありました。
そこで同じくらいしっかり読みつつ、量もこなすという「多読」を行ったため、英語の読解力が伸びたのでしょう。
よって、英文をある程度正確に読む力がないと、多読をしても効果が得られにくい、もしくはそもそも多読を続けにくいと考えられます。
だって、ちんぷんかんぷんな文を延々読み続けて力が上るとは思えないし、そもそもそれをずっと続けられるかどうか怪しいです。
ということは、多読云々いう前に、英文を正確に読む癖をつけておいた方が良いでしょう。
昔は大学受験がこの役割を果たしていました。
英文をある程度正確に読めないと解けない問題(特に英文和訳)が出題されていました。
ここで点を取るために、受験生は全員、好む好まざるにかかわらず、英文を正確に読むトレーニングを積みました。
しかし、今や大学入試は過去のものです。
私立大学が生き残りのために推薦枠を拡大し続けた結果。今や「名門校」に受験なしで入る人が大量に出るようになりました。
「名門校」でさえこの状態なので、中堅校ではいったいどうなっているのやら。受験で入る人たちも、それほど勉強しなくでも入れるのではないでしょうか。良く分かりません。
何はともあれ、受験勉強をするのが人口の少数派になってしまった今、いきなり「多読が効果的だった」という論を振りかざすのもいかがなものかと思ってしまうようになりました。
そこで、普通の高校生が身につけるレベルの知識を身につけようという話です。
2,大学受験参考書にも優れたものはある
世間では、大学受験に出題される英語を「受験英語」と呼んで蔑む文化があるようです。
もっとも、そう呼ばれても仕方がないところがあることは自覚しています。
しかし、受験英語対策の本の中にも、まっとうなものは確かに存在します。
例えば、竹岡広信著『大学受験のための英文熟考 上下』(旺文社)はそうした優れた書籍の一つです。
上下巻からなっており、上巻は高校基本レベル、下巻は高校上級レベルという感じです。
この2冊をしっかりこなすと、おそらく英文を読むうえで必要な知識の9割くらいが手に入るはずです。
僕は高校時代、上巻を7周、下巻を8週くらいやりました。
ついでに、同じく竹岡広信著『英文読解の原則125―原則を知れば,長文もコワくない!』(駿台文庫)も紹介しておきます。
この本はテクニック系に見えますが、英文読解に必要なことがきちんと整理されています。英語の本質に迫ったところもあり、良書です。
練習問題の質、量ともに優れており、重宝しました。また、巻末の重要事項のまとめの部分が秀逸でした。一行にエッセンスが濃縮されている感じです。