The Logical Structure of Linguistic Theory とは?
The Logical Structure of Linguistic Theory とは、Noam Chomsky が1955年に書いた原稿のタイトルです。
生成文法の最初の著作とも言われるこの原稿は、その長さでも知られています。確か、900ページくらいあると聞いていました。
Chomsky 自身はこの原稿の書籍化を目指して行動していた時期もあったそうです。
しかし、それはかないませんでした。
2年後、この怪物的な長さの原稿を百数十ページに縮めた本が出版されました。それが Syntactic Structure です。
巷ではこの本が「最初の生成文法の文献」とされています。しかし、実際のところは、The Logical Structure of Linguistic Theory を縮めた物に過ぎません。
1975年に一部が出版される
900ページ超を誇る The Logical Structure of Linguistic Theory そのものは、結局出版されませんでした。代わりに、そのマイクロフィルム版が保存されました。1950年代に生成文法はそれほ広く受け入れられていなかったためです。
そんな長い原稿を書籍化しても、需要が無いとどうしようもありませんね。
生成文法が徐々に受け入れられるにつれ、研究者間でこのマイクロフィルムへの需要が高まってきました。
そして、1975年になってようやく、このマイクロフィルム版の一部が出版されることになりました。
それが下の写真に写っている本です。題名は、原稿と同じ The Logical Structure of Linguistic Theory です。
装丁も Good です。Twitter でも取り上げました。
しかし、どうやらこの本に載っているのは、当初の原稿の全てではないらしいです。どうしてもオリジナルの原稿が見たいものです。
遂に、本物の原稿へのアクセス URL を入手
The Science of Language: Interviews with James McGilvray という本で、「The Logical Structure of Linguistic Theory のマイクロフィルム版を、web 上ににアップロードしようという取り組みが進行中である」という情報を得ました。MIT と Harvard がやっていたことらしいです。しかし、肝心の URL が不明でした。
その後、何度も Google 検索で調べたのですが、結局当該のページにたどり着くことはできませんでした。
それから数か月後、Chomsky の “Some Puzzling Foundational Issues: The Reading Program.” という論文を読んでいると、参考文献欄に The Logical Structure of Linguistic Theory の URL が載っているではありませんか。
ということで、そのページは以下になります。