昨日、久方ぶりに YouTube のコメント欄を見ていると、以下のような書き込みを見つけました。
この人が言いたい事は:「お前だからダメんだんだ。お前のこと誰も相手にしてねーから。他の人の動画を見たほうがいい。」だと思います。
これを見て、僕は昨晩一睡もできなかったです。
今考えると、YouTube のコメント欄をチェックしたのが、そもそもの間違いです。
基本的に、①ゴミみたいなコメント、② 煽り、③誹謗中傷しか書かれないので。
元の動画がかなり古いため、どの動画内で自分が具体的にどんな発言をしたのか、はっきりとは覚えていません。
ただ、「言語学系は伸びない」という旨の発言をした覚えはあります。
しかし、この人の論に従えば、「伸びないのは、言語学というジャンルのせいじゃなく、単純にお前(要するに僕)のせい。言語学を学びたい視聴者は、お前の動画より他の動画を見たほうが良いと思っている。もしくは、本を読んだ方が良いと思っている」
この人が「ゆる言語学外注」の回し者かどうかは分かりませんが、日本で YouTube x 言語学で、他のチャンネルと言えば、「ゆる言語学外注」しか僕は思いつきません。
なので、僕は「言語学を学びたい視聴者は、お前の動画よりゆる言語学外注の方がずっといいと思っている」と同義だと受け取りました。
それ以外の取り方は、僕は思いつきません。
これを書かれて、かなり嫌な気持ちになりました。確かにこの人の言っていることは、部分的に正しいです。
僕も動画内で繰り返し繰り返し、言語学をするでも、英語をするでも、最良の手段は、今すぐ YouTube を止めることであることを強調してきました。
なので、本を読むというだけに関しては、この人の言っていることは正しいです。しかし、そんなことこちらは既に分かっていたし、動画内で再三言ってきました。
いちいち分かっていることを書かれると、単純にイラつきます。
それ以外は、全面的にこの人は間違えています。何なら「本云々」の部分も、多分この人は間違えています。
1つ目の間違い:この人は YouTube に何を求めているのか。
「言語学をやるなら、他の人の動画を見たほうが良いと視聴者が思っているから伸びない」の部分は、完全にこの人の間違いです。
ブロガーでも YouTuber でも、「ネット上でどのくらい見られるのか」が生命線の人たちは、検索ボリュームにすごく敏感です。
その理由は、ブログ記事も YouTube 動画も、「どれくらい見られるのか」が検索ボリュームに大きく左右されるからです。
検索ボリュームが大きいいところで戦っていれば、それだ見られるチャンスはあります。
逆に、検索ボリュームが小さいところで戦っていると、ほぼ見られません。
例えば、YouTube 内での検索ボリュームを測る機能があります。これによると、「言語学」の検索ボリュームは「中」です。
「中」で具体的にどのくらいの数字を指しているのかは、分かりません。おそらく、月間1~9万件くらいの検索ボリュームでしょう。
よく再生されるコンテンツは、軒並み検索ボリューム「高」の物です。
逆に言えば、検索ボリューム「中」で戦っていては、「高」には絶対に適いません。世間的な注目がないからです。
ポケモンとかは「高」です。シバターとかも「高」です。
(ちなみに、「ゆる言語学ラジオ」は検索ボリューム「高」です。言語学関連のキーワードで、検索ボリュームが「高」なのはこのキーワードだけです。ほんまに彼ら、言語学と関係ないんだなぁ。)
つまり、言語学を学びたくて YouTube を見ているのは、かなりの少数派です。そもそもの需要が少ないため、言語学系の動画は伸びにくいのです。
しかし、例外もあります。
それは、ゴシップ系です。
週刊誌の見出しでも通用しそうなタイトルや内容なら、単発でヒット(もしくはホームラン)も達成できます。
サムネもゴシップ的ならなおのことよしです。場外ホームランもあり得ます。
僕自身が作ったものでも、偶然ゴシップ的なタイトルになったものがあります。
意図したものではありませんが、結果的に、平均値の10倍くらいに視聴回数を獲得できました。それが下の動画です。
この動画は、言語学をやっている人なら誰でも知っている「母語習得の臨界期」について話した物です。
ただ、タイトルに「言語学者」という文言を入れ、権威付けをしたうえで、その言語学者が言う「残酷な事実」という、週刊誌の見出しにも使われそうなセンセーショナルな表現を使いました。
すると、平均の視聴回数の10倍くらいを記録する2塁打を打つことができました。
こんなもの、言語学を学びたい人が見ているのではなく、単に YouTube をサーフしていて、偶然目についたゴシップ的な見出視聴者が飛びついてきただけです。
はい、以上から、僕の仮説を発表します。
仮説:YouTube は学問の場ではなく、ゴシップの場
生成文法を学びたいから YouTube を見ている人なんて、ほんの一握りです。
大半は、暇つぶしのネットサーフィンの延長として見ています。そして、週刊誌の見出しでも通用するような、ゴシップ的なタイトルの動画に引き寄せられて、見ているだけです。
なので、冒頭の煽りコメントにあるような、「言語学を学びたいと思っている視聴者は、お前の動画より他の動画の方が良いと思っている。だからお前の動画は伸びない。言語学のせいにするな。」というのは、この人の間違いです。
どこが間違いかというと、「言語学を学びたいと思っている視聴者」の所です。
そんなもんどこにもいません。いてもごく少数です。
さらに、この人は YouTube という物(もしくは SNS )というものを間違えて認識しています。
「ゆる言語学外注」のように、出版社の力で専門家を召喚しているような、(個人でやっている感を出しているくせに)明らかに個人でやっていないチャンネルは除外するとして、YouTube 等の SNS 、さらにはブログも、所詮素人の手による個展と同じです。
もしくはフリーマーケット(蚤の市)に手作りの小物を出品している店とも通じるところがあります。
僕の場合は、素人が、独学の成果を発表しているだけです。学術を広めてやろうなんて、そんな大それた目標なんてあるはずもありません。
だって、蚤の市に手作りの雑貨を出品している人が、
さらに、海外でも事情は同じで、真剣な学問系は伸びにくい。
上の動画は、僕が何度も何度も再生しているのに、視聴回数は今日(2023年5月中旬)、まだ900回程度。
英語マーケットは日本語マーケットの約10倍。
イメージ的には、日本で3万回再生されることを、英米人が英語でやると、30万回くらい再生される。
ということは、上の動画を、仮に日本語でやった場合、900÷10=90(回)くらいの視聴回数にしかならない。
僕は Chomsky を妄信しているし、 Kitahara Hisatsugu 氏も、Daniel Seely も頼りにしている。
本当はここに、今はなき Samuel D. Epstein が加わって, SMT 4四天王がそろい踏みになるはずだったのだろう。しかし、そこは仕方がない。
とにかく、現状考えられるベストメンバーでやって、視聴回数900回くらい。高評価は、僕がつけた物も含めて、現状12個。
しかも、日本の10倍くらいの規模の海外マーケットでこの有様だ。