1,単語帳がいらない人もいます
英単語帳を使う使わないは完全に個人の自由です。
無理に使えとも、使うなとも言いません。
現に、単語帳を一切使わずに成果を上げている人もいます。
黎明期のTOEICで満点を取った長谷川剛氏は、使わない派だったようです。
参考)長谷川剛『TOEIC Test鉄人伝説―国内の勉強だけで990(満点)を獲得する』(マクミラン)
また、洛南の先輩で、東大文2に次席合格した人も、合格体験記で自身が英単語帳を使わない派であることを公言していました。
ただし、僕が思うのが、英単語帳を使わずにきちんと成果を上げている人は、元々の言語能力がかなり高い人ばかりです。
分からない単語が出てきたら、その場で辞書で調べてパッと覚えてしまう。もしくは文脈から意味が分かる。
こういったタイプの人は現にいます。ただし、人口の大多数はそうではないでしょう。
現に僕も多数派の一人でした。
辞書で調べたはずが、10時間くらい経つと何という単語だったのか忘れてしまう。
そんなことばかりでした。
2,多数派は英語を諦めるべき?
全然そうは思いません。
理論上、仕事で使うレベルには英語力を上げることができます。
通訳とか、英語一本で生きていかない限りは大丈夫です。
きちんとした自分の専門分野を持っていて、その分野の英語文献を読んだり、成果を英語で発表するくらいにはなれます。
まず、単語を何とかするのが先決でしょう。
並レベルの洋書や論文を読んでいて、1行に3つも4つも分からない単語が出てくれば普通はお手上げです。そのまま一日に100ページは読めません。
よって、英単語帳で単語を覚えてはどうでしょうか。
プライドが高い人ほどためらいがちですが、僕から一言。
「プライドを捨てましょう。かっこ悪くあがいてみませんか。僕みたいに。」
洋書を読んでいる人ってかっこいいじゃないですか。
それに比べて、『ベーシック英単語』(そんな本あるのか?)とかをやっていると、なんかかっこ悪い印象を持たれるのではと思ってしまいがちです。
僕からの一言。
「諦めて基礎基本からやろう。」
3,良著は結構あるよ
質の良い単語帳はいくつかあります。
ただし、僕が思う「質のいい」=「万人受けする」とは限らないので注意して下さい。
僕は、単語のルーツ(語源)や、たくさんの意味を持つ単語(多義語)の意味の関連など、物事の仕組みが説明されている単語帳を好むタイプでした。
一語一訳の単語帳はどうも苦手でした。
ただし、世の中には一語一訳式でやった方が成果が上がるタイプの人もいることも分かっています。
よって、これから紹介する単語帳は、あくまで僕が良いと思ったものであることを理解して、割り引いて読んでほしいです。
高校初級~中級(英検2級くらい)
竹岡広信著『必携英単語LEAP』(数研出版)
必携英単語LEAPこの本の特徴は英単語のルーツ(語源)と、よく使うフレーズ、さらには、多義語(意味が沢山ある単語)の個々の意味のつながりをしっかりと説明しているところにある。
レベルで言うと、英検2級~準1級の入り口くらいまでを扱っている。このレベルの単語帳としては最良の部類。
また、同じく竹岡広信著『ドラゴン・イングリッシュ 必修英単語1000』(講談社)も、一つ一つの英単語を語源からしっかりと説明するタイプで僕好みの単語帳でした。
ドラゴン・イングリッシュ必修英単語1000ただし、LEAPが出た今、わざわざこれをやる必要は薄いかもしれません。
高校上級(英検準1級くらい)
植田一三著『英検準1級英単語大特訓』(ベレ出版)
英検準1級英単語大特訓(CD BOOK)この本も、一語一語の説明がしっかりしてあり良著だと感じた。
掲載されている単語も、読解面で本当によく使うものばかりなので、著者の良識、さらには英検という試験の妥当性もうかがえる。
英語力が伸び悩んでいる人はぜひやってみてほしい。
五十嵐博著『ネイティブレベルへの語彙増強 語形成から身につける2200語』(茅ヶ崎出版)
語形成から身につける2200語―ネイティブ・レベルへの語彙増強英検準1級~1級の足掛かりくらいのレベルの単語が語源を用いて説明されている。英英辞典的な定義と良質な例文で使用場面が分かりやすい隠れた良著。
英検1級レベル
ここらへんになってくると、語彙を「むっちゃ覚えなあかん」という体感になってくるはずです。現に、それができる人しかここでは戦ってはいけない気がします。よって、万人にここを目指せとは言いません。
植田一三著『英検1級英単語大特訓』(ベレ出版)
MP3CD-ROM 英検1級英単語大特訓この本では、シソーラス(類義語)的に単語が紹介されている。圧倒的な数を覚えなければならない英検1級という壁を超える手助けになってくれるだろう。
さらに、語彙のレベルも「10000語レベル」とか、「8000語レベル」と表示されているので、もっと覚えよう、もっと上を目指そうというモチベーションになる。
植田一三著『10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング』(ベレ出版)
発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング(CD3枚付) (CD BOOK)一語一訳方式ではあるが、第2章の一般語彙のセクションでの語彙の選定が神がかっている。ここに掲載された単語は本当によく使うものばかりなので、ぜひ参考にされたし。
ただし、その他の章の語彙は、ぶっちゃけやらなくても英検1級ごときの易しい試験なら余裕で通る。(ただし、洋書は読めない)
それ以上のレベル(僕ぐらいの人)
このレベルの人に適する単語帳は、発見できませんでした。
僕は洋書を読みながら語彙を拾っていくという方式を取っています。また、一時期辞書を読んでいました。お気に入りは『新英和大辞典第6版』(研究社)でした。しかし、今ではこれも物足りなく感じています。
そんな僕の今のお気に入りは、Oxford English Dictionary 20vols (Oxford University Press)です。
この辞書は、単語のルーツ(語源)と、意味の変化がきちんと載っています。さらに、用例も豊富です。加えて、たくさんの単語が載っています。なので20巻もあります。
番外編
語源を使った解説をしている秀逸な本を紹介します。
単語帳というよりは、辞典に近いものが多いです。
ホリム・ハン著『新装版 連鎖式英単語辞典』(三修社)
語源、イラスト、何でもありの英単語紹介本です。全部読もうと意気込むタイプの本ではありませんが、僕は全部読みました。英単語の世界が楽しくなりました。
政村秀實『英語語義イメージ辞典』(大修館書店)
語源、イメージ、解説の3段構えで英単語を説明してくれる良著。英語教師をしている時、まじで助かった。ありがとう。
寺澤芳雄編『英語語源辞典』(研究社)
英単語の語源を専門的に扱った辞典。かなり詳細である。